十二指腸潰瘍

■十二指腸潰瘍

<症状>

  • 十二指腸の粘膜に潰瘍が生じる病気です。
  • 10~20代の若年者に多くみられます。
  • 主に胸やけや空腹時や夜間に胃部(みぞおちのあたり)の痛みを感じます。
  • 食事をすると一時的に症状が軽くなります。
  • 十二指腸潰瘍になっても、全く痛みを感じないこともあり、潰瘍が悪化している場合もあります。
  • 十二指腸潰瘍部からの出血によって、コーヒー残渣様の(黒褐色)の吐血や黒色便がみられることもあります。
  • 病気が重症になり、穿孔が起きると突発的な激しい腹痛が生じ、多くは、急性腹膜炎を起こします。また、緊急手術が必要なこともあります。
  • 十二指腸潰瘍の治癒と再発を繰り返すと、傷痕が変形し狭窄を起こしやすくなります。狭窄が起きると、飲食物が通りにくくなり、嘔吐などがみられます。

<原因>

  • 胃潰瘍と同じく、粘膜を攻撃する物質と保護する物質のバランスが崩れて発症します。これには、過労、ストレス、暴飲・暴食、喫煙、飲酒などが誘因としてあげられます。
  • また、ヘリコバクター・ピロリ菌が、十二指腸潰瘍の発症や再発に深く関係していることが指摘されています。
  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDS、エヌセッド)が、粘膜を傷つけたり、防御因子の働きを弱めてしまうため、潰瘍の原因となることもあります。

<検査>

  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の場合、バリウムによるX線造影検査、または内視鏡検査があります。どちらにするか悩む方もいますが、内視鏡検査では、同時に組織の一部を採取して調べる生検も可能となり胃がんとの鑑別に役立ちます。また、ヘリコバクター・ピロリ菌感染の有無を検査できます。

<治療>

  • ピロリ菌に感染していた場合は、除菌剤を服用して、ピロリ菌の除菌を行ないます。
  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDS、エヌセッド)が原因で潰瘍ができている場合は、薬の服用を中止したり、変更していきます。
  • 胃酸の分泌を抑制できるヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)の服用で、夜間の酸分泌をほぼ完璧に抑制することができました。その後、プロトンポンプ阻害薬(PPI)が登場し、すべての酸分泌刺激に対して抑制を行うことが可能になりました。
  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)をきちんと服用すれば、胃潰瘍では約8週間(2ヶ月)、十二指腸潰瘍では約6週間でほとんどの潰瘍は治ることが明らかになっています。
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍が治癒したあと、服薬を中止すると、再発する可能性が高いため予防として、H2ブロッカーや防御因子増強薬による「維持療法」を行います。維持療法を行うと、1年の再発率が10~20%くらいに減少することが知られています。