腸管出血性大腸菌(O-157)

■腸管出血性大腸菌(O-157)

<症状>

  • 4~8日間の潜伏期間を経て、水溶性の下痢と腹痛が起こります。(腹痛や下痢は最初の1~2日に起こります。)
  • 次に激しい腹痛が出現し、血便が出るようになります。重症例では、多量の血液を何度も排出し、発熱、吐き気、嘔吐がみられることもあります。
  • Oー157が放出する「ベロ毒素」によって、大腸の粘膜が痛めつけられられ、 「ただれや出血」が起こります。
  • 血便が出現しても、大半の患者さんは治療によって回復します。しかし、腸重積、虫垂炎、脱肛を合併する他、脳症や溶血性尿毒症症候群(HUS)などの重症合併症を起こして死に至ることもあります。
  • 溶血性尿毒症症候群(HUS)は、約5~10%に起こり、乳幼児や高齢者に多くみられます。

<原因>

  • 人の腸管内には、多数の細菌が常在しており、大腸菌もその一種です。
  • 大腸菌の中には、飲食物などとともに侵入して下痢の原因になるものもあり、病原性大腸菌とよばれています。この中には、ベロ毒素という病原性の強い毒素を産生するものがあり、腸管出血性大腸菌とよばれ、これが感染して起こります。
  • 種々の腸管出血性大腸菌の中で、日本で最も多く検出されるものがOー157です。
  • Oー157は、牛の大腸に常在している菌で、その菌に汚染された食品や水が感染の主な原因となります。
  • 生や加熱不十分な食事、患者や保菌者の排泄物に汚染された食品や水、手指などから感染します。
  • 毎年、保育施設や各種施設で集団感染が発生しています。
  • Oー157は、7月~8月に最も多く発生しますが、5月と11月に発生した例も少なくありません。

<治療>

  • 抗生剤が有効かどうかは、一定の見解が得られていないため、使用するかどうかは主治医の判断によって決定します。
  • 対症療法として、水分補給、消化のよい食事があげられ、その他、輸液や整腸剤での治療が行われます。

<予防>

  • 人から人への二次感染を予防するため、食前やお手洗い・おむつ交換の後など、手洗いは必ずせっけんで行います。
  • Oー157は、75℃で1分加熱すれば死滅するため、調理する際は1分以上加熱します。
  • 菌は生肉についている可能性が高く、肉を切った包丁やまな板を使い分け、清潔に保ちましょう。また、市販の漂白剤にも十分な殺菌効果があります。
  • 下痢をしたときは、家族が同じお湯に入らないなど衛生管理にも注意が必要です。