流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

■流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

<症状>

  • ウイルス感染後2~3週間の潜伏期のあと、痛みをともなって耳下腺部が腫れてきます。
  • 耳下腺が腫れて痛いため、食べ物が飲み込みにくいなどの症状がみられます。
  • 腫れは片側だけのこともありますが、ふつうは、片側ずつ順に腫れ1~2日のうちに両側が腫れてきます。
  • 耳下腺のほかに、顎下腺や舌下腺が腫れる場合もあります。
  • 腫れは、3日くらいでピークをむかえ、通常5日~1週間でひきます。
  • 多くの場合、微熱程度の発熱がみられ、耳下腺の腫れる前からピークの頃まで続きます。
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の合併症として、2~10%が無菌性髄膜炎を合併し、発熱、頭痛、嘔吐などがみられます。予後は良好で、ほとんどは2週間程度で後遺症なく治ります。
  • 思春期以降の男性では、約10~30%が睾丸炎を、女性では約7%が卵巣炎を起こすとされています。
  • 聴力障害(難聴)は、以前は約2万人に1人の割合で発症する合併症であると考えられていましたが、最近では、従来考えられていたよりも発症率が高いという報告もあるようです(約1,000人に1人)。いずれにしても、難治性で回復せず重大な合併症となります。
  • 膵臓炎や脳炎を合併することもあります。
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、冬から初夏にかけて多くみられます。
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に最もかかりやすい年齢は、3~9才です。一度かかると免疫ができます。
  • 感染しても症状が出ない不顕性感染が30%程度あります。この場合も免疫ができます。
  • 感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
  • 周囲への感染性があるのは、耳下腺が腫れる3日前から、耳下腺が腫れて9日ごろまでとされています。
  • 登校・登園については、耳下腺の腫れがひけるまでは休ませましょう。

<原因>

  • ムンプスウイルスの感染によって起こります。
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、一度かかると免疫ができますが、2回以上かかったという場合は、ムンプスウイルス以外のウイルスや細菌などによって耳下腺が腫れる症状が出現したと考えられます。

<治療>

  • 特別な治療法がなく、対症療法が中心となります。発熱や耳下腺の痛みに対しては、解熱鎮痛薬を用います。
  • 発熱が持続したり、頭痛や嘔吐などがあるときは、髄膜炎を合併している場合があるため、すでに受診していても、再度受診して下さい。
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は予防接種があり、任意接種となっています。接種して数千人に1人の割合で無菌性髄膜炎が発症する場合があります。しかし、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)にかかって、2~10%の人が無菌性髄膜炎を合併するため頻度としては低くなります。