■肺がん
<症状>
- 一般的に、気管支から肺胞の部分にできたものを肺がんといい、発生のタイプによって2つのタイプに分類されます。
- 「原発性肺がん」:肺で発生したがん
- 「転移性肺腫瘍」または「転移性肺がん」:他の内臓に発生したがんが肺に転移したもの
- 罹患率、死亡率は男性のほうが女性より高く、女性の3倍から4倍といわれています。
- 肺がんは治療方針によって、「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の2つのタイプに分類されます。
- 小細胞肺がん
- 増殖が速く、リンパ節や脳・骨・肝臓など他の内臓に転移しやすいのが特徴です。
- そのため、発見されたときにはかなり進行しており手術不適応の場合が多いです。
- しかし、以下の非小細胞肺がんと異なり、抗がん剤や放射線治療が比較的効きやすいタイプのがんです。
- 小細胞肺がんでは、咳、胸痛、痰(血痰)、声のかれ(嗄声)、息切れ、顔や首のむくみなどの症状が出現します。
- 非小細胞肺がん
- 健診などで早期に発見されれば手術適応となります。
- 頻度の高いのは腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの三つです。
- 腺がん:最も多いタイプで、肺の奥のほうに発生し、非喫煙者でもかかります。肺がん全体の約60%を占めます。腺がんの初期は自覚症状がほとんどなく、健診で発見される場合が少なくありません。
- 扁平上皮がん: 喫煙との関連が深く比較的太い気管支に発生しやすいのが特徴です。2番目に多いタイプで全体の約20%を占めます。咳や痰(血痰)などの症状がみられます。
- 大細胞がん:大型の細胞からなり増殖・転移が早いのが特徴です。発生率は約5%です。
<原因>
- 発症の原因は解明されていませんが、喫煙が深くかかわっていると考えられます。また、大気汚染やアスベストなども関係しているといわれています。
<病期(ステージ)>
- 非小細胞肺がん
- 潜伏癌:がん細胞が、痰の中に見つかっているが、病巣があるかわからない
- 0期:がんは局所に見つかっていますが、気管支をおおう細胞の細胞層の一部のみにある早期の段階
- Ia期:がんが原発巣にとどまっており、大きさは3cm以下で、リンパ節や他の臓器に転移を認めない段階
- Ib期:がんが原発巣にとどまっており、大きさは3cmを超え、リンパ節や他の臓器に転移を認めない段階
- IIa期:原発巣のがんの大きさは3cm以下であり、原発巣と同じ側の肺門のリンパ節にがんの転移を認めますが、他の臓器には転移を認めない段階
- IIb期:原発巣のがんの大きさは3cm以上であり、原発巣と同じ側の肺門のリンパ節に転移を認めますが、他の臓器には転移を認めない、あるいは、原発巣のがんが肺をおおっている胸膜・胸壁に直接およんでいますが、リンパ節や他の臓器に転移を認めない段階
- IIIa期:原発巣のがんが直接胸膜・胸壁に拡がっていますが、転移は原発巣と同じ側の肺門リンパ節まで、または縦隔と呼ばれる心臓や食道のある部分のリンパ節に転移していますが、他の臓器には転移を認めない段階
- IIIb期:原発巣のがんが直接縦隔に拡がっていたり、胸膜へ転移をしたり(胸膜播種といいます)、胸水がたまっていたり、原発巣と反対側の縦隔、首のつけ根のリンパ節に転移していますが、他の臓器に転移を認めない段階
- IV期:原発巣の他に、肺の他の場所、脳、肝臓、骨、副腎などの臓器に転移(遠隔転移)がある段階
- 小細胞肺がん
- 小細胞肺がんでは、限局型、進展型に分ける方法も使われています。
- 限局型:がんは片側の肺と近くのリンパ節に見つかる場合
- 進展型:がんは肺の外に拡がり、がんの転移が身体の他の臓器にも見つかる場合
<治療>
- 非小細胞肺がん
- 比較的早期に発見された場合は、手術が適応となります。
- 標準的な手術療法は、がんができた部分の肺葉を切除しリンパ節を取り除くリンパ節郭清術です。
- 病期が進行している場合は、放射線療法や化学療法(抗がん剤)による治療が行われます。
- 小細胞肺がん
- 進行した状態で発見される場合が多く、通常、手術は行われません。
- しかし、化学療法(抗がん剤)と放射線療法が有効なため、がんが片側の肺と近くのリンパ節に限られる場合は、化学療法(抗がん剤)と放射線療法の併用療法が行われます。
- また、もっと広範囲に及んでいる場合は、化学療法(抗がん剤)のみの治療が主体になります。