■ネフローゼ症候群
<症状>
- 腎臓の中の糸球体で血液はろ過され、老廃物が取り除かれます。ネフローゼ症候群は、この糸球体に障害が起こり、本来は濾過されないはずのたんぱく質がどんどん濾過されて、多量にたんぱく尿が出る病気の総称をいいます。
- 尿中にたんぱく質が排泄されるため、血液中のたんぱく濃度が減少し、まぶたの腫れや手足のむくみなどの症状がみられます。
<診断基準>
- ネフローゼ症候群の診断基準は、次の4つがあげられます。
- 1.1日の尿たんぱく量が3.5g以上。(たんぱく尿)
- 2.血清総たんぱく量が6.0g/dl以下。または、血清アルブミン量3.0g/dl以下。(低たんぱく血症)
- 3.血清総コレステロール値が250mg/dl以上。(高脂血症)
- 4.浮腫(むくみ)がある。
<種類>
- ネフローゼ症候群は、原因不明の原発性ネフローゼ症候群と、糖尿病性腎症や膠原病などの別の病気の1つの症状として起こる続発性ネフローゼ症候群に分けられます。
■原発性ネフローゼ症候群
<症状>
- まぶたや顔、手足に浮腫がみられます。下肢の浮腫は、靴下のあとが消えないほどの場合もあります。
- 進行すると、おしりや陰部にまで浮腫がみられるようになり、腹水や胸水がたまって呼吸困難が生じることもあります。また、尿量が減少し乏尿や無尿になることもあります。
<原因>
- はっきりとした原因はわかっていません。
- 子供はほとんどが原発性です。
<治療>
- 入院して絶対安静とします。
- 食事療法として、塩分制限とたんぱく質の摂取制限をします。
- 薬物療法として、症状に応じて副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬を投与していきます。
■続発性ネフローゼ症候群
<症状>
- 原発性と同様の症状がみられます。
- 大人の場合、体重が10kg以上増えることもあります。
<原因>
- 糖尿病性腎症、痛風によるものが増えています。
- 上記のほか、膠原病の一種である全身性エリテマトーデスや腎静脈血栓症、糸球体腎炎、薬物などの中毒によっても起こります。
<治療>
- 原因疾患の治療を行います。
- 上記と併せて、塩分とたんぱく質を制限した食事療法と、副腎皮質ステロイド薬などによる薬物療法を行っていきます。