慢性腎不全

■慢性腎不全

<症状>

  • 腎機能が徐所に低下した状態をいいます。
  • 初期には、自覚症状がありません。しかし、しだいに体内に老廃物がたまってくると、倦怠感や集中力の低下、頭痛、吐き気などが生じてきます。
  • ネフロンの数が30%以下になると、ナトリウム、カルシウム、カリウムなどの電解質のバランスが崩れたり、貧血が出現してきます。
  • かなり進行し末期状態になると、尿毒症に至ることがあります。
  • 尿毒症になると、全身倦怠感や食欲不振、吐き気、頭痛、下痢、手足の痙攣、むくみ、眠気、出血傾向などがみられます。
  • ネフロンとは?
    • 腎臓の働きをする基本構造がネフロンとなります。
    • ネフロンは、1つの腎臓に約100万個、左右で約200万個あります。

<原因>

  • 慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症などがあってネフロンの数が減少し、腎機能が低下します。
  • 慢性糸球体腎炎の中でも、巣状糸球体腎炎では5年後に慢性腎不全になる確率は5割近くに及びます。
  • 糖尿病性腎症では、10年で慢性腎不全を起こします。

<治療>

  • 一度失った腎機能を元に戻すことはできないため、病状の進行を遅らすための保存療法が主体となります。保存療法は、基本的には食事療法を中心に行います。
  • 老廃物ができやすくなるたんぱく質や腎臓に負担のかかる塩分を制限します。また、カリウムがたまりやすいときは、カリウムの制限をします。
  • 薬物療法は、症状によって異なります。
  • 高血圧を改善するために、血圧降下薬(降圧剤)、高血圧とむくみを改善するために利尿剤、電解質(カリウムやリン)のバランスをとるためのイオン交換樹脂や炭酸カルシウム、尿毒症を起こす物質を吸着する経口吸着薬、貧血改善のためのエリスロポエチン製剤などが用いられます。
  • 上記の治療を行っても腎不全が進行したり、尿毒症を起こしたりしたときは、血液浄化療法(人工透析)が必要となります。