重症急性呼吸器症候群(SARS)サーズ

■重症急性呼吸器症候群(SARS)サーズ

<症状>

  • Severe Acute Resiratory Syndromeの略になります。
  • 2002~2003年に中国広東省に端を発した世界的流行で、初めて発見された感染症です。
  • 2~10日(平均5日)の潜伏期ののち、38℃以上の発熱、悪寒、戦慄(ふるえ)息切れ、筋肉痛などインフルエンザのような症状で始まります。熱はいったん下がるようにみえますが、肺炎へと進行して、再び高熱と咳が出て呼吸困難になります。また、頭痛、食欲不振、下痢、全身倦怠感意識混濁などの症状がみられることもあります。
  • その後、発症者の約80%は軽快しますが、約20%は急速に呼吸困難が進行して集中治療が必要になります。
  • 致死率は全体で約10%ですが、高齢者や何らかの基礎疾患がある人は高くなります。

<原因>

  • SARSコロナウイルスの感染によって起こります。
  • 自然界でこのウイルスを保有したり、媒介する動物などについては、まだ解明されていません。
  • これまでの疫学的検討から、最も感染の危険性が高いと考えられることは、SARS患者の看護、介護によって体液や気道分泌物に直接触れたか、また同居をしていたかなどです。
  • SARSの感染経路は、完全に解明されていませんが、患者さんの呼吸器症状から気道分泌物の飛沫感染が最も多いといわれ、血液や体液による接触感染もあると考えられています。
  • 便による感染や空気感染の可能性も否定できませんが、その頻度は低いとみられています。

<治療>

  • 現在のところ、有効な特別の治療法はなく、対症療法(酸素投与、人工呼吸器の使用など)が中心になります。
  • SARSの感染経路として、飛沫感染が最も多いと考えられおり、適切なマスクの使用は有効な予防手段であると考えられます。しかし、一つのマスクをいつまでも使用していると、そこに付着しているウイルスによる危険性もあり、状況に応じて頻繁に変えることが必要です。
  • SARSの流行地域に滞在して10日以内に、38℃以上の高熱、咳や息苦しさなどのインフルエンザのような症状がある方は、感染の疑いがあります。感染が心配な方は、いきなり医療機関を受診するのではなく、他の患者さんへの二次感染予防のために、まず保健所や医療機関に電話連絡して、その指示に従って受診することが大切です。