■白内障
<症状>
- 眼の中には、水晶体とよばれる直径9ミリ、厚さ4ミリほどのレンズがあります。これをカメラに例えると、ちょうどレンズにあたるところです。 白内障は、瞳孔の奥にあるこの水晶体が濁る病気になります。
- 眼がかすんで見えます。
- 一般的に近くが見えやすくなります。
- 物や人が、二重、三重に見えます。
- 眼鏡が合わなくなってきます。
- 明るい所だと、眩しくて見えにくくなります。(濁った水晶体が、光に反射する為です。水晶体の中心部に濁りがある方が、特にまぶしくなります。)
- 暗くなると、見えにくくなる事があります。(高齢者の水晶体は黄色がかっており、これに白内障の濁りが加わると、見えにくくなる事があります。)
- 水晶体は神経や血管がない為、眼の痛みや充血はありません。
- 水晶体の濁り方には、次の2つのタイプがあります。
- 「皮質白内障」
- 丸い水晶体のふちの部分が濁ります。最も多いタイプです。
- 「核白内障」
- 丸い水晶体の内側が濁ります。視力の著しい低下があります。
- 通常、他の様々な組織は生きていれば、当然死んだ細胞や残りかすが出ます。これを、静脈によって送り出しますが、水晶体には血管がないので老廃物があまり出ていかず、年を追うごとに溜まりがちになります。こうなると、透明だった水晶体が濁ってしまい白内障となります。
<原因>
- 加齢によるものが最も多いです。(老人性白内障)
- 60歳になると、個人差はありますが白内障がでてきます。
- ぶどう膜炎という眼の病気によって、白内障が起こる事があります。
- 糖尿病によって、水晶体の成分に変化が起こり白内障を起こしやすくなります。
- アトピー性皮膚炎の影響で、白内障が起こる事もあります。
- 外傷により眼のけがや眼に入った異物により、白内障をひきおこす事があります。
- ステロイド剤による長期の点眼により、白内障をひきおこす事があります。
- 遺伝や先天的な原因が関与する事もあります。
- 妊娠中に母親が風疹にかかると、産まれてくる子供に、白内障をひきおこす事があります。
<白内障にかかる割合>
- 70歳代で3人に1人
- 80歳代で4人に3人
- 90歳代でほぼ全員といわれています。
<治療>
- 白内障の症状が軽度で、日常生活に支障がなければ点眼薬で進行を遅らせる場合が多いです。
- 白内障により視力が著しく低下し、日常生活に支障をきたす様なら手術するしか方法がありません。
- 白内障の手術は、水晶体の濁りを超音波で砕いて吸引し取り除きます。その後、人工の水晶体(眼内レンズ)を入れるのが通常の方法となります。
- 「手術前検査」
- 視力検査
- 眼圧、眼底検査(視力低下の原因が他にないかなど、合併症の有無や網膜の状態を調べます。)
- 細隙灯顕微鏡検査(点眼薬で瞳孔を大きくし、水晶体の濁りの状態など全体を調べます。)
- 超音波検査
- 問診、血液検査など
- 「手術当日」
- 手術が午前中の場合は朝食を抜き、午後の場合は昼食を抜きます。ただし、降圧剤は医師の指示のもとで、服用して手術に臨みます。手術前にトイレを済ませておきます。
- 「手術時間」
- 10~20分程度 (合併症がある場合は、手術時間が長くなる事があります。)
- 「麻酔」
- 局所麻酔(点眼麻酔)
- 認知症などの精神的異常のある方や過度に神経質な方などの場合は、全身麻酔又は鎮痛剤投与が必要な場合もあります。
- 「入院日数」
- 日帰り手術が可能です。 手術後は、眼をこすったり圧迫してはいけないなどの注意事項があり、しばらく通院加療も必要な事から、入院して様子をみる事もあります。(3~4日程度)
- 「手術後」
- 30~40分程度安静にして頂き、その後注意事項など看護師より説明があり、日帰りの方はそのまま退院となります。
- 眼球保護の為、眼帯を装着しています。眼をこすったり触ったりして圧迫しない様注意して下さい。
- 視力が回復しても、眼の状態が安定するまで1~2週間かかります。例えば、手術直後は普通充血があり、しばらくは眼がチクチクする、涙が出る、目やにが多いなどの症状があります。 そういった事も考慮して、寝ている時は無意識にこすったりしない様、眼帯は装着した方が良いでしょう。
- 「手術費用」
- 白内障手術及および眼内レンズの治療費は、保険対象になります。
- 「手術後の注意事項」
- 医師の許可がでるまでは、入浴、シャワー浴、洗髪は控えて下さい。
- 入浴は、首から下であれば手術の翌日から可能です。
- 洗髪は、顔を下向きにして行えば手術後約1週間後からてす。それまでは美容院などで上向きで洗ってもらいましょう。
- 洗顔は、水が目に入らない様にします。不安な場合は、濡れたタオルで拭くなどして下さい。
- 渡された点眼薬と内服薬を、必ず指示通り使用して下さい。(約2~3ヶ月は点眼が必要です。)
- 激しい運動は避けます。手術後1ケ月位でたいていのスポーツが可能になります。
- 読書やテレピは、目が疲れない程度てあれば差し支えありません。
- 人混みや埃の多い所は避け、旅行も1ヶ月位は控えます。
- 飲酒は、傷の冶りが悪くなるので医師の許可がでるまでやめましょう。たばこも本数を控えて下さい。
- 白内障の手術後は、指示通り定期的に受診しましょう。通院は普通、手術後1日後、2日後、1週間後、2週間後、1ヵ月後・・・となります。
- 傷口が完全にふさがっていない為、目をこすったり押したりして圧迫しない様にして下さい。 一番注意すべきことは、術後の眼内炎です。
- 「眼内炎」
- 手術中や術後の経過中に細菌が眼内に入って感染することを言います。
- 発見が遅れれば、失明することがある怖い病気です。感染は術後2~3日で発生することが多いようです。
- 感染をおこすと、充血、涙が出る、強い痛み、視力低下を伴います。手術後1週間以内に起こった眼内炎は進行が早く点滴注射や再手術が必要となるため、早急な治療が重要となります。
- 感染予防のため、必ず、指示通りの点眼や内服を行って下さい。
- 「白内障で両眼を手術する場合」
- 一度に両方はできないので、約1週間あけて片眼ずつ白内障の手術を行います。したがって、その分よけいに通院や入院期間を見込んでいただく必要があります。
- 「白内障手術後の眼鏡」
- 手術により白内障の起きる前の視力を回腹できますが、眼内レンズは水晶体の様にピントを調節する機能がないため、眼鏡が必要となってきます。より良好な視力を求めるのであれば、手術後に自分に合った眼鏡を合わせていただいくとよいでしょう。
- 手術後、眼の状態が安定し、視力が落ち着くまでには、1~3ヶ月かかります。個人差があるので、手術後の眼鏡について主治医とよく相談してから作成してください。
- 「後発白内障」
- 白内障の手術後、眼内レンズを取り付けるために残しておいた水晶体の後嚢が濁って、再び目がかすむ事があります。手術後、5年で3割位の人に起きるといわれています。こういった場合、レーザーを使用し短時間で濁りを取る事ができます。