顔面神経麻痺

■顔面神経麻痺

<症状>

  • 顔の表情を自分の意思で動かすことができなくなります。
  • 通常は、顔の左右のいずれかが無表情になります。
  • 麻痺側の口角は垂れ下がり、口元がうまく動かせないため、唾液がもれてしまいます。
  • まぶたも十分に閉じることができず、兎眼(とがん)といって、眼球がつねに露出している状態になります。

<原因>

  • 顔面神経は、顔面筋肉の運動や舌の味覚の一部、さらには涙腺、舌下腺などに分布する副交感神経などをつかさどる神経です。この顔面神経の働きが、何らかの原因で阻害されている病気です。
  • 顔面神経麻痺は臨床的には中枢牲麻痺と末梢性顔面神経麻痺に分けられます。
  • 中枢性顔面麻痺の原因としては、脳血管障害や脳腫瘍などがあげられます。
  • 末梢性顔面神経麻痺は、ベル麻痺とも呼ばれ急性発症し最も多くみられます。原因不明ですが、単純ヘルペスなどのウイルス感染や血行不良が関与しているといわれています。
  • 帯状疱疹のウイルスによる顔面麻痺もみられ、ハント症候群とよばれています。耳たぶや外耳道に水疱ができ、聴神経が侵されると難聴をともなうことがあります。
  • 上記の他、頭部外傷、顔面外傷、また中耳炎から誘発される場合もあります。

<治療>

  • 顔面神経麻痺は自然に治癒することもありますが、病状の程度や治療法、治療開始時期などによって、予後に大きく影響することがあります。
  • 全身疾患や脳に異常がなく、中耳炎や末梢神経である異常で起きる場合は、耳鼻咽喉科の領域になります。
  • 一般的な治療としては、入院して安静にし、副腎皮質ステロイド薬を点滴します。ハント症候群では、抗ウイルス薬も併用します。その他、星状神経節ブロック、顔面の筋肉マッサージ、鍼灸治療をします。改善されなければ、血流改善薬、ビタミンB12などが処方されます。
  • 重症の場合、耳のうしろにある顔面神経を圧迫から開放する手術を行うところもあります。しかし、後遺症を伴うなどリスクが高いため、よく考えて行ったほうがよいと思います。
  • 顔面神経麻痺は時間が経つほど治りにくく、後遺症が残りやすい病気です。そのため、早期治療が大切となります。