■脳出血
<症状>
- 脳出血とは脳内の血管が破れて、脳の中に出血が起こるもので、脳溢血ともいいます。
- 脳出血は、上記の脳内出血の他にくも膜下出血があります。今回は、脳内出血について書きます。
- 前兆として、吐きけや嘔吐、目がかすむ、頭がズキンズキンと痛むなどの症状がありますが、何の前触れもなく起こる場合がほとんどです。
- 脳出血の症状の現れ方は、出血量や出血部位によって異なります。
- 出血部位は、大脳の中の方にある被殻(ひかく)に最も多く発生し、症状としては、出血と反対側の手足が麻痺(片麻痺)し、痛みやしびれなどの感覚障害も生じます。
- 次に多いのが視床(ししょう)出血で、運動麻痺のほかに、痛みやしびれなどの感覚障害が生じます。痛みは視床痛といって、半身の手足が強く痛むことがあります。
- 小脳出血は、突然の頭痛やめまい、嘔吐などが起こり、歩行障害も出現します。
- 橋出血では重症例が多く、突然の意識障害や呼吸障害、四肢麻痺(両手足が動かなくなる)などの症状がみられます。
- 重症例では、発症から1時間程度で意識障害が進行して昏睡に陥り、死に至ることもあります。
<原因>
- 脳出血の原因は、高血圧によるものがほとんどです。
- 脳深部の細い血管に起きた動脈硬化が進むと、血管がもろくなり、そこに血液がたくさん流れ込むと、強い圧力がかかって動脈瘤ができやすくなります。この動脈瘤が、血圧の上昇によって破裂して脳出血を起こします。
- 高血圧のほかに、脳動脈奇形やもやもや病、脳腫瘍などが引き金になることもあります。
<治療>
- 脳出血によって破れた血管は、収縮して血液が固まり、発症後1~6時間で出血が止まります。そのため、6時間以上経っても意識障害がない場合は、手術はせずに薬物療法で様子をみます。
- 固まった血液が、まわりの組織を圧迫すると脳浮腫が生じ、さまざまな機能にダメージを与えるため、薬物療法では、脳浮腫を軽くする薬(グリセオール)を点滴していきます。また、高血圧に対して血圧を下げる薬を使用していきます。
- 大きな出血がある場合は、年齢や合併症などを考慮して外科手術が行われます。
- 手術法は、頭蓋骨を開ける開頭手術で固まった血液(血腫)を除去する方法と、小さな穴から血腫に細い管を通して吸引する方法と、内視鏡を用いて吸引する方法などがあります。いずれも、重症度や出血部位によって選択されます。