慢性中耳炎には、主に「慢性化膿性中耳炎」、「真珠腫性中耳炎」、「癒着性中耳腔」の3種類があります。
■慢性化膿性中耳炎
<症状>
- 鼓膜に穴が開いたままの状態で、慢性の炎症が起きます。
- 鼓膜にできた穴から細菌が入り、耳だれと難聴が出現します。
- 耳だれが継続的にでて感染が繰り返されると、耳小骨が炎症で破壊され耳の聞こえが悪くなってきます。
- 中耳の炎症が内耳に及ぶと、難聴がひどくなり、耳なりが出現してくることもあります。
<原因>
- 鼓膜に穴が開く原因は、はっきりとわかっていません。
- 中耳腔や乳様突起蜂巣(にゆうようとっきほうそう)の発育の不十分が、慢性化になりやすい原因の一つといわれています。
- 鼻や咽頭の慢性的な炎症が続いていたり、抵抗力が弱っている人が中耳炎になった場合に起こりやすいようです。
<治療>
- 耳だれが多い場合は、適切な抗生物質を選び、注射または内服で治療します。
- 耳だれを繰り返し、難聴がひどい場合は手術が必要となります。
- 鼓膜に穴が開いているだけで、聴力が低下していない場合は、耳の穴から行う簡単な手術ですみます。耳小骨が壊れている場合は、組み立てが必要になります。
- 患部が内耳に及んでいると、聴力の回復は望めません。
■真珠腫性中耳炎
<症状>
- 中耳炎の中で、最も注意が必要です。
- 耳の強い痛み、血性の膿を含んだ耳だれ、難聴があります。
- 中耳の奥の壁が破壊されて内耳に及ぶと、めまいが起こります。
- 真珠腫がさらに大きくなり進行すると、骨を破壊し髄膜炎になることもあります。髄膜炎を起こしかけると激しい頭痛が出現します。
<原因>
- 鼓膜の一部が中耳腔側に引っ込み、その中に鼓膜の皮膚のかすがたまって、大きな固まりになります。この固まりは、感染するたびに大きくなり耳小骨だけでなく、中耳の周りの骨を破壊していきます。
- 炎症がなく先天的に表皮組織が中耳にあって拡大するケースもまれにあります。
<治療>
- 放置すると、徐々に大きくなって骨を破壊するので早期に手術を行って、真珠腫をすべて切除します。
- 程度によっては感染を抑えてから手術をします。
- 時期を逃さずに切除すれば、予後は良好です。
■癒着性中耳腔
<症状>
- 耳の聞こえが悪くなります。
<原因>
- 鼓膜が中耳腔の奥の壁に癒着して耳小骨を溶かし、中耳腔がなくなった状態になります。
<治療>
- 自然に治ることはなく、この中耳腔から真珠腫性中耳炎になる恐れもあります。
- 初期のうちに鼓膜にチューブを挿入する方法がとられます。