卵巣嚢腫

■卵巣嚢腫

<症状>

  • 小さなうちは自覚症状がないことが多く、産婦人科の受診の際に偶然見つかることがほとんどです。
  • 卵巣嚢腫が大きくなるにつれて、お腹がふくれ、触れるとしこりが感じられるようになります。また、腰痛も起こってきます。
  • その他、卵巣嚢腫がこぶし大以上になると、膀胱が圧迫され頻尿や残尿感などもみられます。
  • 卵巣嚢腫の症状として注意すべき症状は急激な下腹部痛です。大きくなった嚢腫で卵巣の茎の部分が急にねじれた場合(茎捻転)は、激しい下腹部痛や嘔吐がみられます。
  • 急性の茎捻転では、緊急に手術をして患部を摘出する必要があります。
  • ほとんどが良性腫瘍ですが、悪性に変わるものもあるため、定期的に受診した方が良いでしょう。

<原因>

  • 卵巣嚢腫は、透明な液体が入っている漿液性、どろっとしたムチンと呼ばれる粘液が入っている粘液性、脂肪や歯、髪の毛などが詰まった類皮性の3つが代表的です。なぜ、そのようなものがたまるかは解明されていないため、その予防法もないのが実状です。
  • また、子宮内膜症によってできる卵巣チョコレート嚢胞も、卵巣嚢腫の1つとして扱われています。

<検査>

  • 超音波検査、MRI、CTなどの画像診断で診断します。
  • 血液検査では、腫瘍マーカーの測定をします。CA125、CA19-9、CEA、AFPなど卵巣腫瘍で異常値のでやすいマーカーをいくつか調べ、悪性の可能性が低いならば、卵巣嚢腫のみを摘出する治療法を考えます。

<治療>

  • 原則的に手術で卵巣嚢腫を摘出します。年齢や嚢腫の種類、大きさなどを考慮し、嚢腫だけを摘出するか、嚢腫のできた卵巣ごと摘出するかが決められます。
  • ごく一部の良性腫瘍で、嚢腫が小さい場合は、腹腔鏡下での手術も可能です。
  • 両方の卵巣を取り除いた場合は、ホルモン障害を起こす場合もあるため、女性ホルモンの服用など、必要な処置が行われます。