HIV感染症(AIDS)エイズ

■HIV感染症(AIDS)

<症状>

  • エイズは正式には、AIDS「後天性免疫不全症候群」といい、HIV「ヒト免疫不全ウイルス=通称エイズウイルス」の感染によって引き起こされる病気です。
  • 感染してから、感染後1週間~数週間ほどたつと、発熱やのどが痛み、咳、体がだるい、発疹、リンパ節が腫れる等、かぜと似た症状がでます。しかし、この自覚症状は感染者のわずか10%程度に見られる症状で、初期には自覚症状がほとんどありません。
  • その後、何も症状の出ない数年から十年間程度の長い潜伏期(無症候性感染期)に入ります。この期間は、自覚症状がなくてもウイルスによる免疫機能の破壊が進んでおり、感染症にかかりやすくなります。
  • 感染から7~8年たち、免疫細胞の数が減少してエイズ発症が近づくと、発熱や下痢、体重減少、ひどい寝汗、慢性的な疲労感などが現れます。さらに、カビや細菌などに対する感染を起こしやすくなります。この時期をプレエイズ期といい、エイズ発症の一歩手前に当たります。
  • 感染から約8年以上で初めてエイズが発症し、免疫力低下によって、健康な状態では感染しない弱い病原体の感染が起こります。これを、日和見感染といいます。
  • 日和見感染には、食道カンジダ症やカリニ肺炎などがあります。また、脳にリンパ腫が発生したり、カポジ肉腫という腫瘍が皮膚にできることもあります。

<原因>

  • 免疫機構の中心的役割を果たす白血球(CD4陽性リンパ球)にHIVが感染し、この細胞を破壊して免疫機構を崩壊させます。その結果、日和見感染を起こし、治りにくい状態になります。
  • 感染経路は、同性間を含む性行為(性器、肛門、口を介して)、母子感染(妊娠、出産、授乳をとおして)、血液による感染(輸血、注射のまわし打ち)が三大要因で、それ以外の日常生活では感染しません。

<治療>

  • HIVそのものに対しては、逆転写酵素阻害薬やプロテアーゼ阻害薬などを併用して治療します。これらによって、HIVの増殖を抑えて進行をコントロールできるようになりました。
  • 免疫低下によって起こるカンジダ症、カリニ肺炎などには、それぞれに応じた治療薬を用います。