疥癬

■疥癬

<症状>

  • 疥癬虫は乾燥に弱く、人間の体から離れて床に落ちた場合、動きが鈍くなり数日で死にます。(疥癬は熱に弱く、50℃10分間の熱で死にます。)
  • 好発部位は、腹部、腋窩、陰部、大腿内側などで、皮膚が軟らかい部分に小さい赤いぶつぶつができ、激しいかゆみが生じます。これは、疥癬虫の抜け殻や糞などに対するアレルギー反応と考えられています。
  • 上記のほかには、手のひらや足のうら、指間、臀部などに水疱や膿胞、疥癬トンネルがみられることもあります。疥癬トンネルは、細くわずかに盛り上がった線状の発疹で、メスが卵を産んでいる場所です。
  • 一般的には、夜間、布団に入ってから、かゆみが強くなります。
  • 卵は2~3日で孵化し、約2週間ほどで成虫となります。その後、オスの成虫は、メスと交尾をしてまもなく死にますが、メスは、角質の中にトンネをル掘り進み、毎日2~4個の卵を産み続け、約4~6週間生き続けます。

<原因>

  • ダニの一種である、ヒト疥癬虫(ヒゼンダニ)が皮膚に寄生して生じます。大きさは、0.2~0.4mmといわれています。
  • 疥癬は通常、密接な接触により感染します。昔は、性感染症といわれていましが、最近は、病院や老人保健施設で疥癬患者に接することの多い医療従事者を介しての感染や、寝具や衣服、コタツなどに疥癬虫がいて家族間で移ることもあります。
  • 通常、2週間から約1ヶ月の潜伏期間を経て症状が出現します。ノルウェー疥癬から感染する場合、潜伏期間は7日前後です。
  • 普通の疥癬の場合、ヒト疥癬虫(ヒゼンダニ)は1000匹程度ですが、ノルウェー疥癬の場合、100万~200万匹が全身に寄生します。また、感染力が強く、4~5日で発症し、一人ノルウェー疥癬の患者がいるとすぐに広がってしまうため、隔離が必要となります。2週間経つと、人間の体から離れた虫体がすべて死滅します。
  • ノルウェー疥癬は、高齢者、癌末期や重症感染症の患者、副腎皮質ホルモンや免疫抑制薬の投与中の患者が疥癬にかかったときに生じます。

<治療>

  • 疥癬虫は熱に弱いので、50℃のお湯に10分間つけてから、洗濯するとよいでしょう。また、その後乾燥機を使用するのも効果があるといえます。
  • オムツや衣類、シーツを交換する場合、落屑やホコリが飛び散らないように気をつけ、ビニール袋等に入れて洗濯室まで運ぶようにします。
  • 下着を含めた衣類やシーツは毎日交換します。
  • 疥癬の患者は入浴の順番を最後にし、職員も手袋をつけて介助した方がよいでしょう。
  • 入浴の際、イオウ製剤のムトーハップが使用されますが、治療薬としては殺虫効果が弱いとされています。また、濃度がこいと、皮膚の乾燥とともに硫黄かぶれを起こしてしまうこともあり、主の治療としては控え、若干の予防法と考えたほうがよいでしょう。
  • 薬物療法としては、かゆみ止めとしてオイラックス軟膏を首から下の全身に塗布します。痒みの強い場合は、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を使用します。ステロイド外用剤は、かえって悪化させてしまうため、ヒト疥癬虫(ヒゼンダニ)が死滅するまでは使用中止とします。
  • 上記のほか、殺虫効果のあるγ-BHC製剤やイベルメクチンという飲み薬もあります。

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