睡眠時無呼吸症候群(SAS)

■睡眠時無呼吸症候群(SAS)

<症状>

  • 一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸状態がが30回以上起こるか、睡眠1時間中に無呼吸数あるいは低呼吸数が5回以上おこる場合をいいます。
  • 熟睡感がなくなります。
  • 熟睡できない為に日中強い眠気におそわれたり、抑うつ状態におちいることがあります。車の運転中に居眠りをして重大な事故を引き起こした例もあります。
  • 睡眠中に呼吸が止まり、呼吸が再開するときに大きないびきをかきます。
  • 記憶力が低下します。
  • 無呼吸状態に陥ると体に酸素が回らず脳も酸欠を起こしている為、起床時に頭痛が生じるこたがあります。
  • 夜間、何回もトイレに行くことがあります。
  • 途切れた眠りやレム睡眠の欠如によりED(Erectile Dysfunction:勃起不全)が出現すると言われています。
  • 健康な人は、夜眠っているときにレム睡眠とノンレム睡眠を、一晩に約90分周期で繰り返します。
  • レム睡眠とは
    • 眠りが浅いとき、大脳の活動が起きているときの状態に近くなるので、「夢」を見ます。この眠りが浅い時の睡眠をレム睡眠といいます。
  • ノンレム睡眠とは
    • 逆に、夢を見ないほど深い眠りについているような状態もあります。この深い眠りについている睡眠をノンレム睡眠といいます。

<原因>

  • 肥満などで体重が増加していると顎の周囲や首周りが太くなります。その様な場合、睡眠中に喉や舌下部の筋肉がゆるんで垂れ下がってしまい、気道が圧迫されていびきの発生につながります。
  • 鼻の空気の通り道が曲がっていたり、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などによって鼻の通りが悪くなると、いびきの発生につながります。
  • 扁桃が大きかったり、アデノイドがあると気道が狭くなり、いびきの発生につながります。
  • 顎が小さく後退していると、睡眠中に舌下部の筋肉が気道を圧迫しやすい為、喉がふさがりやすくいびきの発生につながります。
  • 筋弛緩薬、睡眠薬、精神安定剤などは筋の緊張を緩和させる作用があり、舌や咽頭の筋肉の緊張がなくなる為気道が狭くなりいびきの発生につながります。
  • アルコールは気道の筋力を低下させ、ますます無呼吸を悪化させることになります。

<検査>

  • 実際に「睡眠時無呼吸症候群」かどうかを確定診断するには専門の検査機関で1泊入院の検査が必要になります。
  • 夜入院で翌朝退院になりますので、会社などを休まずに検査が出来ます。
  • 睡眠ポリグラフィーという検査を用います。
  • 身体の各部、頭部、胸部、胴部、脚部に約20個の電極を取り付け情報を記録解析します。
  • 睡眠中の身体状態、脳波、眼球運動、筋電図、呼吸曲線、電気皮膚反射、心電図、血圧などを観察していきます。また、血液中の酸素の濃度をパルスオキシメータと呼ばれるセンサーを指につけてベッドに入っていただき、いつも通り、眠っていただきます。センサー類がじゃまに感じるかもしれませんが、痛みを伴うものではない為、安心して検査を受けてください。

<治療>

  • 生活習慣の改善
    • 枕は低くし、仰向けではなく横向きで寝ます。
    • アルコールを控えます。
    • 減量・ダイエットをします。
    • 睡眠薬や筋弛緩薬について医師に相談し、中止できる様なら中止します。
  • マウスピース(歯科装具)
    • 症状が軽度から中等度の場合は、口にはめ込むと気道が広がるしくみのマウスピースを寝る前に装着し、気道の通りをよくします。
    • いびき、無呼吸を簡単に治したい人はこの方法をお勧めします。しかし、歯がない人や鼻に病気があると適さないこともあります。
  • 鼻マスク(CPAP:持続陽圧呼吸療法)
    • 症状が中等度から重度の場合は、頭に固定するタイプの鼻マスクを装着し、加圧した空気を人工呼吸器のように鼻から気道に送り込む装置を使用します。
    • 効果が高く睡眠時無呼吸症候群の治療として用いられています。
  • 外科手術
    • 扁桃の肥大、口蓋垂(のどちんこ)が極端に長いなどのような病的症状には外科手術の必要があります。