気管支喘息

■気管支喘息

<症状>

  • 一般に喘息と呼ばれているものです。
  • 空気の通り道である気道(気管や気管支など)が狭くなって、咳や痰・呼吸困難などの喘息発作を繰り返す病気をいいます。
  • 典型的な症状は、発作性の咳と、呼吸にともなうゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴、息が苦しくなる呼吸困難の3つです。これらの症状が、悪化と軽快を繰り返すのが特徴です。
  • 発作の程度として、以下の3つがあげられます。
  • 小発作
    • かすかに、ゼイゼイが聞こえる程度で聴診器を使わないと良く分からず、日常生活に障害はありません。
  • 中発作
    • はっきりとゼイゼイが聞こえ、息をする度に胸がくぼみ、元気がなくなってきます。
  • 大発作
    • 苦しくて横になったり、じっとしている事が出来ず、肩呼吸になります。顔色が青白くなります。

<発作の多い時期>

  • 日中に比べて、夜間から早朝に起こることが多いです。
  • 季節としては、秋が多く、春や梅雨の時期にも増加します。
  • また、台風が近づくと気圧の変化により発作が起きやすくなります。
  • その他としては、季節の変わり目・激しい運動の後・疲労などによっても発作が起こるといわれています。

<原因>

  • はっきりとしていませんが、何らかの刺激に対して、気道が過敏に反応し、気管支の筋肉が収縮して、気道が狭くなってしまうために呼吸が苦しくなります。
  • 気管支喘息は、アトピー型(アレルギー性)非アトピー型(非アレルギー性)があります。
  • 小児の気管支喘息は約90%がアレルギーによるもので、乳幼児期に発症し60~80%は思春期には無症状となるか、発作があっても年に1~2回軽い発作がある程度まで回復します。
  • アレルギーの原因となる物質にはハウスダスト、ダニ、動物の毛、カビ、花粉などがあり、たばこの煙など、気道に刺激となるものはすべて喘息発作の原因となります。
  • 大人では細菌やウイルス感染によるもの、又はアレルギーと感染の混合型があります。

<特殊な喘息>

  • 喘息性気管支炎
    • 乳幼児が風邪をひいた時に、ゼイゼイという喘鳴を引き起こした場合です。
    • 気管支が過敏であったり、アレルギー体質のために、痰がいつまでも切れず、乳幼児特有の喘息の現れ方と考えられます。
    • 発熱、咳などの症状が治まっても、ゼイゼイが長く続きます。
    • 年齢とともに起きなくなることも多いのですが、後に本格的な喘息になることもあるので、喘息に準じた治療と管理が必要となります。
  • 運動誘発性喘息
    • 運動した時に出る喘息発作です。
    • 冷たい乾燥した空気やホコリを吸い込むことによって起こり、運動15分前に気管支拡張薬の吸入をすると予防効果があります。
  • 咳喘息
    • 聴診しても、肺に喘息特有の音が聞こえないのに、しつこい咳が長引く場合で、喘息の治療が有効です。

<治療>

  • アトピー型(アレルギー性)で、刺激物質(アレルゲン)が特定されている場合は、それを避ける事です。
  • 非アトピー型(非アレルギー性)の場合は、たばこの煙やほこり・動物の毛・花粉などはできるだけ避けるようにします。
  • 発作を繰り返す人は、慢性的な気道の炎症がみられます。この炎症を抑えるためには、長期的に吸入ステロイド薬を常用すると効果があり、発作の予防につながります。
  • 吸入ステロイド(フルタイドなど)
    • 吸入ステロイドは気管支の炎症を抑え、単に発作を抑えるだけではなく、喘息を治していきます。
    • ステロイドは発作が強い場合には、点滴することもあります。
  • テオフィリン(テオドールなど)
    • 気管支を広げる作用と炎症を抑える作用があります。
    • 副作用として、動悸、吐き気、頭痛、けいれん等が出ることがあります。
    • 効果がはっきりしない時や、副作用らしい症状が出た時は血液中の濃度を測る必要があります。
    • テオドールは、2時間前後で効き始め効果が持続します。
    • 大きい発作の場合は点滴となります。
  • β2刺激剤(気管支拡張薬:べネトリンなど)
    • 交感神経を刺激して気管支を拡張させる作用を持ち、吸入は即効性があり、数分で効果が出ます。
    • 内服は吸入よりは時間がかかりますが、1時間前後で効果が出てきます。
    • ホクナリンテープという貼り薬は即効性はありませんが、持続性の効果があります。
  • 抗アレルギー薬
    • アレルギー反応を抑えて、喘息発作を予防する目的で使われます。
    • 抗アレルギー薬は種類もたくさんあり、効き方に個人差があります。どれが合うか確かめる必要があり、違うグループのものを複数組み合わせることもあります。原則として、数ヶ月(最低2ヶ月)経たないと効果ははっきりしないといわれています。
  • 去痰剤(ムコダイン、ムコソルバンなど)
    • 痰を出しやすくします。
  • インタールとβ2刺激剤の吸入療法
    • インタール(炎症を抑える効果とアレルギーを抑える効果の2つを持つ)とβ2刺激剤を混ぜ、家庭用吸入器を使って吸入すると、発作の治療にも予防にも効果を発揮します。
  • どのお薬でも大切なことは、医師の指示を守って服用することです。緊急時にすぐに救急受診ができるように、休日の場合など常に病院はチェックしておきましょう 。