前立腺肥大症

■前立腺肥大症

<症状>

  • 前立腺が肥大して尿道を圧迫するために、排尿の時に様々な困難が生じます。
  • 尿は細く、勢いがなくなって出るまでに時間がかかります。
  • お腹に力を入れないと尿が出にくいこともあります。
  • 肥大した前立腺によって膀胱が刺激される為、排尿の回数が増えて頻尿になります。とくに、夜間にたびたび尿意を感じて目が覚めてトイレに行くという夜間頻尿が多くみられます。
  • さらに、尿が全部出きらずに膀胱に残る(残尿)状態が続くと、尿閉といってほとんど尿が出なくなることもあります。
  • 残尿が常に多量にあれば、時には尿失禁になることもあります。
  • 50歳を過ぎて、尿が出にくいことがあったら、早めに泌尿器科で調べてもらいましょう。

<原因>

  • 前立腺の内側にある尿道周囲腺が増殖して肥大し、前立腺の中を通る尿道を徐々に圧迫します。
  • 正常の前立腺の発育は、50歳で横ばいとなりますが、50歳を過ぎるころからもう一度大きくなっていくことがあります。
  • 加齢によるホルモンのアンバランスが原因で、65歳以上のほとんどの男性は前立腺が肥大化しています。(65歳以上の40%前後の人に前立腺肥大症の症状がみられます。)

<治療>

  • 薬物療法
    • 初期であれば、前立腺や尿道に作用して排尿をよくする薬で治療します。
    • 前立腺や尿道に作用して前立腺を縮小させるホルモン薬を使用する場合もあります。
  • 手術療法
    • 前立腺肥大によって、排尿困難で日常生活に障害をきたしたり、腎機能が低下した場合に行います。
    • 肥大した前立腺を切除する根本的な治療法です。
    • 優れた方法は、経尿道的前立腺切除術で、これは尿道から切除鏡をいれて、前立腺を見ながら肥大部分を高周波電流を通した電気メスでをきれいに切り取ります。痛みもなく出血も少ないので、合併症がある場合でも受けられます。
    • 大きな肥大症には、開腹手術を行います。最近は、レーザー治療や超音波を利用する方法もとられています。
  • 前立腺組織内レーザー凝固術(ILCP)
    • 下半身麻酔をして尿道に内視鏡を挿入し、レーザーを照射して肥大した前立腺を凝固、壊死させて尿道を広げる方法です。
  • 温熱療法(経尿道的前立腺高温度療法TUMT)
    • 尿道からプローブを挿入して前立腺を過熱し、肥大した部分を破壊する方法です。この治療法は尿道に損傷を与えずに、残尿感や頻尿といった刺激症状に比較的よい効果が得られます。しかし、これだけでは肥大した前立腺が縮小することは難しく、閉塞症状は改善されにくいようです。