膵がん(膵臓がん)

■膵がん(膵臓がん)

<症状>

  • 膵臓から発生したがんを一般に膵がんといいます。
  • 50~70歳の男性に多くみられます。
  • 膵臓にできるがんのうち90%以上は、外分泌(消化液の分泌)に関連した細胞にでき、とくにに膵液を運ぶ膵管に発生します。
  • 早期がんでは、特徴的な症状はありません。
  • 進行してくると、上腹部(胃のあたり)痛や背中の痛み、食欲不振、体重減少などの症状が出現します。
  • がんが膵頭部に起こると、胆管を圧迫するために胆汁の通過障害が起き、身体や白目が黄色くなったり、尿の色が濃くなったりする閉塞性黄疸が出現します。
  • 上記のほか、血糖のコントロールが悪くなり糖尿病を発症することもあります。

<原因>

  • はっきりした原因は不明です。
  • リスク要因としては喫煙があげられます。

<膵がんの病期(ステージ)>

  • 日本の膵臓学会が定めたものと国際的に使われているもの(UICC分類)があります。
  • 「日本膵臓学会」
    • I期:大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しており、リンパ節転移がないもの。
    • II期:大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しているが、第1群のリンパ節転移がある。または、大きさが2cm以上あるががんは膵臓の内部にとどまっており、リンパ節転移がないもの。
    • III期:大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しているが、第2群のリンパ節転移があるもの。または、または、大きさが2>cm以上あるががんは膵臓の内部にとどまっており、第1群までのリンパ節転移がある。または、がんは膵臓の外へ少し出ているが、リンパ節転移はないか、第1群までに限られている。
    • IVa期:膵癌は膵臓の外へ少し出ており、第2群のリンパ節転移があるもの。または、がんが膵臓周囲の血管におよんでいるがリンパ節転移はないか、第1群までに限られている。
    • IVb期:がんが膵臓周囲の血管におよんでおり、第2群のリンパ節転移があるもの。または第3群のリンパ節転移があるか、離れた臓器に転移がある。
  • 「UICC分類」
    • I期:膵がんが膵臓の内部にとどまっており、リンパ節転移はないもの。
    • II期:膵がんは膵臓の周りにおよんでいるが、膵臓周囲の重要な血管にはおよばず、リンパ節転移はないか、第1群までに限られているもの。
    • III期:がんが膵臓周囲の重要な血管におよんでいるが、離れた臓器には転移がないもの。
    • IV期:膵臓から離れたところに転移があるもの。

<治療>

  • がんを切除する手術が基本となります。
  • 膵頭部のがんでは、十二指腸、総胆管、胆嚢を一緒に切除します。また、胃も切除する場合があります。
  • 膵尾部(脾臓に近い部位)のがんでは、膵体部(膵臓の中央)と脾臓を一緒に切除します。
  • がんの範囲によって、膵全摘術を行うケースもあります。手術後は、血糖をコントロールするために、インスリンの注射が必要となります。
  • がんの浸潤が進み、切除が不可能な場合は、黄疸を改善するために総胆管にチューブを留め置き、胆汁の排出を促す対症療法が行われることもあります。
  • 上記のほかに、放射線療法や化学療法を単独または併用して治療が行われる場合もあります。