肝臓がん

■肝臓がん

<症状>

  • 一般に肝臓がんといえば肝細胞がんのことを指し、肝臓にできるがんの9割を占めます。
  • 年齢別にみた肝臓がんの罹患率は、男性では45歳から増加し始め、女性では55歳から増加し始めます。
  • 罹患率、死亡率は男性のほうが高く、女性の約3倍です。
  • 発症初期に自覚症状として、全身倦怠感、腹部膨満、上腹部痛、食欲不振、やせ、微熱などがみられます。
  • 進行すると、腹水、黄疸、体重減少をきたします。
  • リンパ節、肺、骨、副腎などへの転移後は咳、血痰、リンパ節の腫大や、骨痛などがみられます。
  • さらに、肝臓がんが破裂したり、胃・十二指腸潰瘍からの大量出血が起こると、突然の腹痛と貧血状態におちいります。

<原因>

  • 肝臓がんの7割はC型肝炎から、2割はB型肝炎から進行します。
  • これらのウイルス性肝炎が慢性化し、肝硬変に移行するケースと、アルコールの多飲によって肝硬変に移行するケースの場合、肝臓がんに進行する確率が高いことがわかっています。
  • 統計的にみてハイリスクの人が多量の飲酒を続けると肝臓がんを発病しやすくなっています。

<検査>

  • 肝がんの診断は、「血液検査」、「超音波検査」、「CTの画像診断法」により行われます。これらの検査で診断がつかない場合は、肝生検といって肝臓の腫瘍部分に針を刺して一部組織をとり、顕微鏡で調べます。
  • 「血液検査」では、腫瘍マーカーを調べます。肝がんの腫瘍マーカーとしては、「AFP」や「PIVKA II(異常プロトロンビン)」などが目安となります。
  • がんが存在すると陽性となりますが、肝臓がんであっても陰性となる場合があります。
  • また、肝臓がん以外の肝炎・肝硬変であっても陽性となる場合があるため、腫瘍マーカーによる血液検査は、全面的に信頼できるわけではありません。
  • したがって、画像診断を同時に行う必要があります。

<肝臓がんのステージ>

  • 「ステージ1」
    • 単発した直径2cm以下のがん腫で、がん細胞が血管に侵入していない。
  • 「ステージ2」
    • 単発した直径2cm以下のがん腫であるが、がん細胞が血管に侵入している。または、左右どちらか一葉に限局した最大腫瘍径が2cm以下の多発性がん腫、または単発した直径2cmを超えるがん腫であるが、がん細胞が血管に侵入していない。
  • 「ステージ3」
    • 単発した直径2cmを超えるがん腫がん細胞が血管に侵入している。または、一葉に限局した最大腫瘍径が2cmを超える多発性がん腫。
  • 「ステージ4」
    • 一葉を越えて存在する多発性がん腫、またはがん細胞が門脈あるいは肝静脈の一次分枝の血管に侵入している。

<治療>

  • 肝機能がある程度保たれていて、転移がない場合は手術療法が行われます。
  • 早期の場合は、「ラジオ波焼灼術」、「マイクロ波凝固療法」や「エタノール注入療法(PEIT)」が有効です。
  • また、がんに栄養と酸素を供給している肝動脈内にカテーテルを挿入し、ゼラチン・スポンジで人工的にふさいで、がん細胞を死滅させる「肝動脈塞栓術(TAE)」も行われます。
  • 肝機能が低下し、上記の治療法が適さない場合は、抗がん剤の動脈内注入が有効です。