急性腎不全

■急性腎不全

<症状>

  • 急速に腎機能が低下するために尿量が大幅に減り、無尿(1日の尿量が100ml以下)や乏尿(1日の尿量が400ml以下)がみられるようになります。
  • 腎臓の老廃物の排泄機能も低下するため、むくみや全身倦怠感、食欲不振などが生じてきます。
  • 進行すると、高血圧や不整脈、頭痛、吐き気、動悸、息切れ、下痢、低体温、貧血、意識障害なども出現してきます。

<原因>

  • いくつかの原因がありますが、主なものは次の3つになります。
  • 腎前性腎不全
    • 大量の出血、やけど、脱水、心不全、肝硬変などによって腎臓に送られる血液が減少し、腎機能が障害されます。
    • 血液が腎臓にくる前の心臓血管系に問題点があり生じるため、腎前性腎不全とよばれています。
  • 腎性急性腎不全
    • 腎臓自体の病気や腎毒性薬物の使用(造影剤、抗菌薬、抗悪性腫瘍薬、非ステロイド抗炎症薬などによって腎臓の小血管や尿細管が破綻されたために起こります。
    • 腎臓に原因があり生じるため、腎性急性腎不全とよばれています。
  • 腎後性急性腎不全
    • 尿管結石、腫瘍、前立腺肥大、血栓(血の固まり)などが原因で上部尿路(腎臓から尿管まで)が閉塞して通過障害(尿が通れなくなる)が起こるために生じます。
    • 腎臓より後の尿路系の異常が原因となるため、腎後性急性腎不全とよばれています。

<治療>

  • 腎不全は、あまり進行しておらず腎臓の組織が無傷であれば、回復が可能となります。しかし、ダメージを受けていると、回復しても慢性腎不全となる場合があります。
  • 腎前性腎不全の場合は、一刻も早く輸血や輸液を行い、腎臓への血液の流れを回復させていきます。
  • 腎性急性腎不全の場合は、原因となった薬剤の使用を中止していきます。
  • 上記2つのどちらも、一時的に尿細管が壊死します。しかし、再生して2~3週間後には尿がたくさん出るようになります。
  • 尿毒症になったものなど重症の場合は、透析療法を行い全身状態を改善していきます。
  • 腎後性急性腎不全の場合は、腎盂や尿管にカテーテルを入れて尿を導き、体外に排出させます。症状が長引くようであれば、尿の取り出し口を手術によってつくる場合もあります。
  • 上記のほか、塩分やタンパク質、カリウム、水分などを制限し腎機能の低下を防ぐ食事療法を行います。
  • 急性腎不全の回復期には、多尿(1日の尿量が2000ml以上)になり高カリウムであったものが急速に低下して低カリウムに傾き、尿中のナトリウムも喪失するため、食塩やカリウムを服用する場合もあります。