■腹膜炎
＜症状＞
- 腹腔と臓器を覆っている腹膜に何らかの原因で細菌が感染して、炎症を起こした状態をいいます。
- 腹膜炎には、急性腹膜炎と慢性腹膜炎があります。
- 発症初期は、炎症が腹膜の一部にとどまる限局性腹膜炎(げんきょくせいふくまくえん)と炎症が腹膜全体に広がる汎発性腹膜炎(はんぱつせいふくまくえん)があります。
- 限局性腹膜炎(げんきょくせいふくまくえん)は、部分的な腹痛を覚える程度ですが、汎発性腹膜炎(はんぱつせいふくまくえん)は、発熱、腹部全体の痛み、嘔吐などがみられ全身状態が悪化します。適切な処置が行われないと、生命の危険もあります。
＜原因＞
- 急性腹膜炎は、急性虫垂炎、急性膵炎、急性胆嚢炎、腸閉塞（イレウス）による組織の壊死、胃・十二指腸潰瘍の穿孔、大腸憩室の穿孔、子宮や卵巣の炎症、そのほか、手術後の合併症として発症することもあります。
- 慢性腹膜炎は、肺結核を起こす結核菌が腹膜に感染したり、開腹手術後の合併症、そのほか、がんが腹膜全体に広がって発症するものもあります。
＜治療＞
- 急性腹膜炎では、開腹手術をして病巣を切除し、腹腔内にたまっているうみを取り除きます。また、細菌を死滅させるために抗生剤を服用し、点滴による栄養補給をしていきます。
- 慢性腹膜炎では、原因疾患の治療と同時に、抗生剤を服用します。
- 腸管の通過障害などの症状が改善されない場合は、手術が行われます。