■痛風・高尿酸血症
<症状>
- 尿酸は、DNAやRNAとよばれる核酸(遺伝子のもとになる物質)の成分であるプリン体が体内で代謝されるときにつくられる老廃物です。
- 尿酸は、血液中に含まれ腎臓で濾過されて尿中に排泄されます。しかし、何らかの理由で血液中の尿酸が増えた状態を高尿酸血症といいます。
- 一般に尿酸値7.0 mg/dl以上の場合は、高尿酸血症と診断されます。
- 高尿酸血症の状態が長く続くと、尿酸が血液内で溶けなくなって結晶化し、腎臓や関節に沈着します。高尿酸血症の約10%の人に急性の関節炎発作が起きています。このように、結晶化した尿酸が引き起こすさまざま症状を痛風と呼んでいます。
- 尿酸値7.1~7.5 mg/dl未満の場合は痛風予備軍(尿酸値が高いも症状のない状態)といわれ、尿酸値7.5~8.0mg/dl未満の場合は痛風発作を起こしやすくなります。
- 尿酸値が8.0mg/dl以上だと、いつ痛風発作が起きてもおかしくなく、腎機能障害や尿路結石、高血圧症、高脂血症などの合併症を引き起こすこともあります。また、高血圧症や高脂血症などは心臓病や脳卒中の危険性も高くなります。
- 痛風は、突然足の親指のつけねが赤く腫れて、刺すようにひどく痛みます。(痛風発作)
- 痛風は、20歳代から50歳代の男性に多くみられます。
- 痛みははじめの1~3日間がもっともひどく、10日ほどで治まります。しかし、治療をせずに放置すると、再度痛風発作が起こり慢性化します。
- 上記のほか、痛風結節といわれる尿酸のかたまりが耳や足の親指、肘の関節などにできることもあります。
<原因>
- 遺伝的な要因(体質)、肥満、飲酒、食生活(プリン体を多く含む食品の摂取)、激しい運動、ストレスなどが考えられます。
- 血液疾患や悪性腫瘍、腎臓病でも尿酸値が上がることがあります。
<治療>
- 高尿酸血症の治療は、食事療法が中心となります。
- プリン体を多く含む食品(レバーや干し椎茸、魚など)をできるだけ避け、飲酒(とくにビール)も控えます。
- 体重が増加すると尿酸値の増加もみられるため、肥満傾向の人は過食に注意し、総エネルギー摂取量を減らします。
- 水分を多めに取り、過剰な尿酸を尿とともに排泄させます。(一日の尿量が2リットル以上になるよう水分を取ります。)
- 尿が酸性の場合は、尿酸が溶けにくくなるため、野菜、いも類、海藻類など尿をアルカリ化する食品を摂取するようにします。
- 肥満や高脂血症などの改善に効果があるため、適度な運動を心がけましょう。
- ストレスをためないよう休養し、上手にストレスを解消しましょう。
- 痛風発作の前兆(患部がむずむずするなど)がある場合は、コルヒチンの服用が効果があります。 ※発作が起きてしまった場合には、効果がありません。
- 痛風発作が起きた場合は、抗炎症鎮痛薬で炎症と痛みを緩和します。
- 食事療法やアルコールを制限しても尿酸値が下がらない場合は、尿酸排泄薬や尿酸生成阻害薬で治療していきます。