食道炎(逆流性食道炎)

■食道炎(逆流性食道炎)

<症状>

  • 食道の粘膜が炎症を起こし、びらんなどが生じた状態です。
  • 一番多いのは「逆流性食道炎」で、消化液(胃液や胆汁、膵液)が食道に逆流して、その刺激によって起こります。
  • 症状は、胸やけやげっぷ、飲食物を飲み込むときにしみる感じ、胃液がのどに上がってきて酸っぱい感じがするなどの症状がみられます。
  • また、ひどくなると食べ物のつかえ感や胸痛(胸骨の裏側)が出現することもあります。

<原因>

  • いくつかの原因が重なって引き起こされます。
  • 1つ目は、胃液(胃酸)の増加で、食道粘膜が傷つけられやすいためです。
  • 2つ目は、加齢などにより、胃液の逆流を防ぐ機能が低下するためです。
  • 3つ目は、肥満や腹部を締め付けることによって腹圧が上昇するためです。
  • 上記のほか、食道の運動機能の低下や食べ過ぎや飲みすぎも原因としてあげられます。
  • 食道炎には、薬剤が食道内に停滞することで発症する「薬剤性食道炎」や細菌やカビ・ウイルスの感染によって起こる「感染性食道炎」、放射線治療の放射線照射による「放射線性食道炎」などがあります。

<治療>

  • 「逆流性食道炎」では、胃酸分泌を抑える「H2ブロッカー」「プロトンポンプ阻害薬」(H2ブロッカーより強力)が使用されます。これらと併用して、「制酸剤」(胃酸を中和する薬)も使用される場合があります。
    • 「H2ブロッカー」:ガスター、ザンタック、アシノンなど
    • 「プロトンポンプ阻害薬」:タケプロン、パリエット、オメプラールなど
    • 「制酸剤」:マーロックスなど
  • 食道の運動をよくし、逆流してきた胃液を胃へ押し戻す機能を高める「消化管運動機能改善剤」も使用されます。
    • 「消化管運動機能改善剤」:ガスモチン、ナウゼリンなど
  • 食道粘膜が荒れてできた傷口を胃酸から守って保護したり、粘膜からの出血を止めるために「粘膜保護止血剤」が使用される場合もあります。
    • 「粘膜保護止血剤」:アルロイドGなど
  • 「薬剤性食道炎」では原因薬剤を中止し、感染性食道炎の場合は、原因となっている感染症の治療薬を使用します。
  • 日常生活では、、食事の量を減らしたり、胃酸の分泌を促すアルコールやカフェインの摂取、柑橘類、脂肪の多い食物、タバコなどを控えるようにします。
  • 薬物療法で改善しない場合や、食道裂孔ヘルニアがひどい場合には手術を行うこともあります。