突発性難聴

■突発性難聴

<症状>

  • これまで正常であったのに、突然音の聞こえが悪くなります。
  • 高度の音を感じる部分の難聴(感音性難聴)があります。
  • 通常一側の耳が聞こえなくなります。
  • 耳鳴りや耳が詰まったような感じ、また眩暈や吐き気を生じることもあります。眩暈はよくなった後に繰り返さないのが特徴です。
  • 発症が突発的であることから、ほとんどの患者さんが発症の時期やそのときの状況を覚えていることが多いです。
  • 一般には50~60歳代に多く、男女差はありません。
  • 発症前に疲労感を感じていることが多いようです。

<原因>

  • 内耳の感覚神経細胞の障害です。
  • 特定の原因は不明ですが、「内耳循環障害」や「ウィルス」による感染、またストレスが関係していると考えられます。
  • 「ウィルス」による感染は、突発性難聴の発症前に、風邪のような症状を訴える患者さんが少なくないことや、おたふくかぜやはしかなどのウィルス疾患が突発的な高度難聴を起こすことなどが挙げられる為です。
  • 「内耳循環障害」は、内耳血管の痙攣や塞栓や血栓、出血などによる循環障害が突発性難聴の突然の発症を起こすことなどが挙げられる為です。

<治療>

  • 時間がたつと手遅れになるため、発症したら1週間以内に耳鼻咽喉科で治療を開始する必要があります。
  • 「ウィルス」による感染が考えられる場合は、ステロイドなどの薬剤を使用します。ステロイド剤の持つ強カな抗炎症作用がウイルス性内耳炎を軽快すると考えられます。
  • 「内耳循環障害」が考えられる場合は、血管拡張を目的とした薬剤として血管拡張剤が用いられます。また、血栓により内耳循環障害が生じていると考えられる場合には抗凝固剤が用いられます。代謝 賦活剤や向神経ビタミン製剤が併用されることもあります。
  • 薬剤以外では二酸化炭素による血管拡張を期待して95%酸素・5%二酸化炭素混合ガス吸入が行われています。さらに、血液内酸素濃度を上昇させ血流改善のための高気圧酸素療法も試みられています。

<難聴のレベルによる分類>

  • 「正常」(30db未満)
    • 普通の会話は不自由を感じない
    • 声が小さいとき聞き取れないことがある
  • 「軽度難聴」 (30~50db未満)
    • 小さな声やささやき声は聞き取りにくい
    • テレビの音が大きいといわれる
    • 二度聞きしたり、聞き間違えたりすることがある
  • 「中等度難聴」(50~70db未満)
    • 普通の会話が聞きづらい
    • 自動車が傍にきて初めて気付く
    • 大き目の声でなければ聞き取れない
  • 「高度難聴」 (70~90db未満)
    • 大きな声でも聞きづらい
    • 大きな声でも聞き間違いが多い
    • 耳元での大きな声でなければ聞き取れない
  • 「重度難聴」 (90db~)
    • 耳元での大きな声も聞きづらい
    • 目の前の電話の音でも聞き取れない
    • 日常の音声はほとんど聞こえない