■パーキンソン病
<症状>
- 振戦(手足が震える)、筋固縮(筋肉がこわばって固くなる)、無動(動作が緩慢になる)の3大症状が出現します。
- また、仮面様顔貌といって顔が無表情となったり、バランスを崩して転びやすくなったりします。
- 歩行障害もきたし、前かがみになって足をひきずり、小幅で歩行するよになります。
- さらに進行すると、最初の一歩がなかなか踏み出せない、どうにか歩きだしても加速がついて早足となってしまい止まれない(加速歩行)といったことが起こってきます。
- 上記のほか、精神症状(うつ状態など)、自律神経障害、不眠などもみられます。
<原因>
- 不随運動をコントロールしているのは、大脳基底核で、そこに情報を伝達するのは、中脳の黒質で作られたドーパミンという神経伝達物質です。
- この黒質が何らかの原因で、ドーパミンを作る黒質の神経細胞が減って、大脳基底核が正常に働かなくなるためと考えられています。
<治療>
- ドーパミンを補う薬物療法が中心となります。
- 抗パーキンソン病薬には、ドーパミンになる一段階前の物質で、脳に入ってからドーパミンに変わるドーパミン補充薬(L-ドーパ)や、ドーパミンの作用を強める薬のドーパミン受容体刺激薬(ドーパミンアゴニスト)があります。
- ドーパミン受容体刺激薬(ドーパミンアゴニスト)は、副作用として、悪心、嘔吐、幻覚、妄想、興奮などの症状が出現することがあります。しかし、長期に服用すると効果が持続するため、70歳未満の人に使用していきます。(パーロデルやカバサールなど)
- 70歳以上の人には、ドーパミン補充薬(L-ドーパ)を使用します。長期間、使用しているとパーキンソン病の症状が、一日の間に変動しやすくなったり、不随意運動がでやすくなったりします。また、副作用として悪心、嘔吐、食欲不振、起立性低血圧、幻覚、妄想などの症状が出現することがあります。(メネシット、イーシー・ドパールなど)
- 振戦(ふるえ)に効果がある抗コリン薬が使用される場合がありますが、間接的に作用する薬は効果が不確かです。
- 症状の進行具合や程度によって薬の種類が選択され、単独で使用したり併用したりします。
- 自己判断で薬の量を減らしたり、服薬を中止すると高熱、頻脈、筋肉硬化、意識障害などの症状を引き起こすことがあるため、注意して下さい。